解決志向アプローチ(SFA)

先日、スクールカウンセラーの方々もいた研修に参加したのですが、様々な問題を抱えたお子様も多くいらっしゃるのが世の中の現実です。不登校や、いじめや、ヤングケアラーや、たくさんの課題を抱えた方々がいます。そういったお子様の相談の窓口の一つが、スクールカウンセラーであります。相談は多岐にわたるのですが、カウンセラーはあくまで、学校の場の中で対応する事が主になります。相談の核にある家族の問題等の課題を中心にすると、家庭の場に行かないと根本解決には至らないと思われます。勿論、ケースによっては児相を含めて、家庭の現場に行く必要な時もあると思います。相談を受けている、その場から展開をする時に有効な手段のアプローチの一つが、解決志向アプローチになります。(SFA) 不登校を例にとると、問題は非常に複雑で、一つの明確な原因だけを取り除けば解決するというものではありません。学校での問題は複合的な要因が絡み合って起こるため、「原因を取り除けばよい」という考え方では不十分なのです。また、問題志向に基づく議論では、子供の弱みや問題点についての情報が集まり、原因はたくさんあることが分かるのだけど解決への手立てが見つからず、関係者全員が疲弊してしまうということになりがちです。

解決志向アプローチでは、原因の特定よりも、「何を実現したいか」に焦点を当てます。たとえば、不登校の子どもに対しては、学校に行くかどうかを置いておき、「親子のコミュニケーションが良好になる」「子どもが自分の好きなことに主体的に取り組めるようになる」など、小さな目標を設定します。そして、その目標を達成するために必要な具体的な行動を一緒に考え、実行していきます。

例えば、「好きなアイドルのイベントに行きたい」という目標があれば、そのための道順を調べたり、必要な費用を計算したりすることから始めます。これにより、子どもが自分自身で行動する力をつけるサポートができます。また、保護者に対しても、子どもとの関係を深める機会としてポジティブな視点を提供します。

SFAが優れていると思う大きな点として、クライエントを責めない、多くの負担をかけないことと言えると思います。多くのカウンセリング技法がある中で、この点では群をぬいて優れていると思います。多くのクライエントはカウンセリングの場で「責められるのではないか」という恐れを持っている方は多いものです。

多くのカウンセリング理論では、クライエントの悩みや問題に注目し、その原因をカウンセラーと一緒に探り、その過程を通じて悩みを軽減し、問題を取り除いていくことが中心になることが多くなります。(問題解決アプローチ)悩みやうまくいっていないことに着目するため、カウンセラーの技量やクライエントとの関係性によっては、「できないこと」を責められているような感覚に陥りやすいことになります。 SFAは、クライエントの持つ問題よりも、元々持っているリソース(資源や資質、能力、など)に注目するアプローチです。リソースを活かして、求めているより良い状態や望ましい自分を明確にし、そこに近づいていくためにとりあえずできることややれそうなこと(課題や行動化できること)に取り組んでいきます。まず、リソース(資源や資質)に着目して、「できていること」「頑張れている部分」「うまくいっている状況」「助けになる物や人」などをリソース探しの質問を通じ明らかにしていくため、クライエントの自信やモチベーションのアップにつながります。エンパワーメント、エコマップ作成にも似ていますね。行動として取り組む内容(課題)も、「とりあえずできること」や「できそうなこと」というスモールステップから取り組むため、クライエントの負担は小さくなります。また、短期療法(ブリーフセラピー)と呼ばれているように終了までの回数が少ないことでも、負担軽減になるようです。GHでも個別支援計画の作成の際、短期目標や、スモールステップで出来そうな事を計画に入れて、成功体験をより多く出来るように配慮して利用者支援の個別支援計画の作成を行っております。

解決志向の考え方は、学校の先生方にも受け入れられやすい特長があります。先生方は子どもの課題解決能力が高まることを願っています。そのため、「プラスの階段」を一緒に上るような解決志向の取り組みは、学校現場においても協力を得やすいのです。例えば、不登校の子どもに対し、「どのタイミングなら楽に学校に来られるか」を話し合い、小さな成功体験を積み重ねるサポートを行います。

解決志向は、子どもや保護者だけでなく、学校の先生、スクールカウンセラー、さらには地域のサポートスタッフなど、関わるすべての人をエンパワーメントする力を持っています。スクールカウンセリングにおいて解決志向を取り入れることで、問題解決への新しいアプローチが可能になります。

過去は過去です。良い事も悪い事も、過去は過去としてもう終わりにしましょうよ。戻れないですし、変えられない。(笑) 取り巻く問題も過去の怨念のようにずっとまとわりついて現時点の己を苦しめます。(反省はより良い未来の為に勿論必要です。)でも過去は、もういいや。燃えないゴミの日にポイしましょう。(笑)

栄光も挫折も、過去は過去として葬り去れです。

今日から明日に視点を向けて、未来の為に出来る小さなスモールステップで、自分の人生を歩んでいく事がこれからの人生で一番大事だと思います。

未来は僕等の手の中。

解決志向アプローチの三原則は

  • うまくいっているのなら、変えようとしない。
  • もし一度やって、うまくいったのなら、またそれをやろう。
  • もしうまくいっていないのであれば、違うことをやろう。

あそこの飯屋ではあのメニューしか頼まない、なぜならば、いつもバリバリ旨いから、みたいな。(笑)

ASD(自閉スペクトラム症)のこだわりも、大切な成功体験の積み重ねだと思います。新しいチャレンジも勿論大切ですが、少しづつ、世界は広がれば良いと思います。そのままでも、我々の世界は充分素晴らしいです。

by スタッフ M